クリスマスーすべての人の喜び

クリスマスーすべての人の喜び

2022年12月25日子どもの教会クリスマス礼拝お話
三鷹教会牧師 石井智恵美


「その地方で羊飼いたちが野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた。すると、主の天使が近づき、主の栄光が彼らを照らしたので、彼らは非常に恐れた。天使は言った。『恐れるな。わたしは民全体に与えられる大きな喜びを告げる。今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ、主メシアである。あなたがたは布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。

 今日はみんなに絵本を紹介します。鈴木まもるさんという人が絵と文を描いた『戦争をやめた人たち-1914年のクリスマス』という絵本です。これは本当にあったお話をもとにして描いています。第一次世界大戦のさなかのことです。イギリス兵とドイツ兵がにらみ合っている前線でのお話です。イギリス兵もドイツ兵も塹壕の中に入って、いったい敵がどうやって攻めてくるのか、攻撃がいつ始まるか、緊張しながら相手の様子をうかがっていたのです。
 クリスマスの日も戦争は続いていました。だけど、その日の夜、ドイツの陣地から歌が聞こえてきました。クリスマスの讃美歌です。言葉はわからないけどメロデイーはわかります。それで嬉しくなったイギリス兵たちは声を合わせて歌いました。すると風に乗って声が届いたのでしょう。ドイツ側から拍手が聞こえてきました。今度はイギリス兵たちが別のクリスマスの讃美歌を歌いました。歌い終わると敵陣から拍手が聞こえます。
 こうして不思議と戦争は一時止まったのです。翌日、ドイツ兵の一人が武器を持たず白旗をあげて近づいて来ました。相手に敵意がないとわかったイギリス兵たちは、塹壕から出て来て、互いに握手をしたり、家族の写真を見せ合ったりして、最後は服を丸めてボールにして、サッカーをはじめました。「人間の優しさは、戦争より強い」ことを伝えたくて、作者の鈴木まもるさんは、この絵本を描いたそうです。

 今日の聖書には、夜通し羊の番をしていた羊飼いたちのところに、天使がやってきてイエスさまの誕生を知らせてくれたとあります。羊飼いたちは、他の人が寝静まっている夜中にも働かなければなりません。そんな苦労の中で、自分たちもまた神様に覚えられている、ということを強く感じたに違いありません。そのクリスマスの出来事が心の奥底にあった兵士たちは、一時的にでも戦争をやめることができたのでしょう。
 敵も味方もない大きな愛を、すべての人に届けるためにお生まれになったイエスさま。戦争が今も起こっているこの世界だからこそ、このクリスマスの出来事を心に刻み、平和の主であるイエスさまを心にお迎えしたいと思います。